賃貸の鍵交換費用は誰が負担?入居時・紛失時・退去時のケース別に解説
最終更新日:2026年8月9日
要点:負担者は「原因」と「契約内容」で決まる
賃貸の鍵交換費用は、入居時の交換は契約(特約)次第で、実務上は借主負担の特約が多い一方、国土交通省の原状回復ガイドラインでは入居者の入れ替わりに伴う交換は貸主負担が妥当と整理されています。鍵を紛失・破損した場合は借主負担が一般的、経年劣化による故障は貸主負担が原則です。どのケースでも、無断で鍵を交換することはできません。必ず先に管理会社・大家へ連絡してください。
ケース別の鍵交換費用の負担者
賃貸の鍵交換で「誰が払うのか」は、交換が必要になった原因によって考え方が変わります。ここでは代表的な5つのケースについて、一般的な考え方をご説明します。実際の負担は個別の契約内容が優先されるため、必ずお手元の賃貸借契約書とあわせて確認してください。
ケース1入居時の鍵交換 → 契約内容次第(特約で借主負担とされることが多い)
新しく入居する際の鍵交換費用は、賃貸借契約書の特約でどう定められているかで決まります。実務上は「鍵交換費用は借主負担」とする特約が広く使われており、初期費用の明細に「鍵交換代」として計上されるのが一般的です。一方で、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、入居者の入れ替わりに伴う鍵交換は物件管理上の問題であり、貸主(大家)負担とすることが妥当と整理されています。特約自体は契約自由の範囲で有効とされることが多いものの、納得できない場合は契約前に交渉する余地があります。
ケース2鍵を紛失した・壊した場合 → 借主負担が一般的
借主の不注意で鍵をなくした、鍵を折ってしまったなど、借主側に原因があるトラブルの場合は、鍵の再作成やシリンダー交換の費用は借主負担となるのが一般的です。賃貸借契約における善管注意義務(借りたものを注意して管理する義務)の考え方によるもので、ガイドラインの整理とも整合します。紛失に気づいたら、まず管理会社または大家に連絡し、指示を受けてから対応してください。
ケース3経年劣化・自然故障の場合 → 貸主負担が原則
普通に使っていたのに鍵が回らなくなった、シリンダー内部が摩耗して施錠できなくなったなど、経年劣化や自然故障が原因の場合は、設備の維持管理義務を負う貸主(大家)の負担で修理・交換されるのが原則です。故意・過失によらない故障まで借主が負担する必要は基本的にありません。ただし、自己判断で業者に依頼する前に、必ず管理会社へ症状を伝えて対応を確認してください。
ケース4防犯性向上のために借主が希望する交換 → 借主負担・事前承諾が必要
「前の入居者が合鍵を持っているかもしれないので替えたい」「ディンプルキーに替えたい」など、借主側の希望による交換は借主負担となります。費用以上に重要なのは手続きです。賃貸物件の鍵は建物設備の一部のため、交換には貸主・管理会社の事前承諾が必須です。承諾を得たうえで、取り外した元のシリンダーは退去時に戻せるよう保管しておくのが一般的な運用です。
ケース5退去時の鍵交換代の請求 → ガイドライン上は貸主負担が妥当とされる
退去精算の際に「次の入居者のための鍵交換代」を請求されるケースがありますが、国土交通省ガイドラインの考え方では、入れ替わりに伴う鍵交換は貸主負担が妥当とされています(借主が鍵を紛失した場合を除く)。契約書に明確な特約がないのに退去時に請求された場合は、根拠となる契約条項を確認し、納得できなければ消費生活センターなどに相談する選択肢もあります。
国土交通省「原状回復ガイドライン」の考え方
賃貸の費用負担トラブルで基準としてよく参照されるのが、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」です。このガイドラインでは、鍵の取り替えについて「破損や鍵紛失という事情のない場合、入居者の入れ替わりによる物件管理上の問題であり、貸主負担とすることが妥当」という考え方が示されています。借主に落ち度がない状況で行われる防犯目的・管理目的の交換は、本来は物件を管理する側が負担すべき費用という整理です。
ただし、ガイドラインは法律そのものではなく、あくまで一般的な基準・考え方を示すものです。契約書に「鍵交換費用は借主負担とする」といった特約があり、借主が内容を理解して合意していれば、その特約が有効とされる運用が実務上は広くみられます。そのため、契約前に特約の内容を確認すること、そして退去時に根拠の不明な請求があれば契約条項を確認することが重要になります。
ご自身で行う確認と連絡の手順
- 1
賃貸借契約書・重要事項説明書を確認する
まず、ご自身の契約で鍵交換費用がどのように定められているかを確認します。「鍵交換費用」「シリンダー交換」「特約事項」などの項目を探し、負担者と金額の記載をご確認ください。初期費用の明細(見積書・精算書)に鍵交換代が含まれていたかどうかも判断材料になります。契約書が見つからない場合は、管理会社に契約内容の確認を依頼できます。
- 2
トラブル時はまず管理会社・大家に連絡する
紛失・故障のどちらでも、最初の連絡先は鍵業者ではなく管理会社(いなければ大家)です。物件によっては提携業者や緊急対応窓口が決まっており、そちらを通すことが契約上求められている場合があります。連絡時は「いつから・どんな症状か・鍵の種類」を伝えるとその後の対応がスムーズです。夜間で管理会社につながらない場合は、24時間の緊急連絡先が契約書類に記載されていないかを確認してください。
- 3
借主負担になる場合は見積もりを比較する
紛失などで借主負担となる場合でも、管理会社指定の業者に必ず依頼しなければならないとは限りません(契約で指定がある場合を除く)。管理会社の承諾を得たうえで、複数の鍵業者から総額見積もりを取って比較すると、費用を抑えられることがあります。交換費用は鍵の種類(刻みキー・ディンプルキーなど)や時間帯で大きく変わるため、料金の目安を事前に把握しておくことをおすすめします。
- 4
紛失時は警察へ遺失届を提出する
鍵を紛失した場合は、鍵交換の手配と並行して警察署・交番に遺失届を提出してください。後日見つかった際に連絡を受けられるほか、拾得物として届いていればその場で確認できます。住所が分かるもの(免許証や郵便物)と一緒に鍵をなくした場合は防犯リスクが高いため、見つかったとしてもシリンダー交換を検討するのが安全です。
避けるべき行動
避けるべき行動:管理会社に無断で鍵を交換する
賃貸の鍵・シリンダーは貸主の所有物(建物設備)です。無断で交換すると契約違反となり、原状回復費用の請求やトラブルの原因になります。防犯目的の場合も、必ず事前に承諾を得てください。
避けるべき行動:連絡なしで自分で業者を手配する
緊急時でも、可能な限り先に管理会社へ連絡してください。無断で解錠・交換を依頼すると、費用を負担してもらえるはずのケース(経年劣化など)でも自己負担になったり、指定業者ルールに反したりすることがあります。
避けるべき行動:紛失を放置してそのまま住み続ける
なくした鍵が、どこで誰の手に渡るかは分かりません。特に住所が特定できる持ち物と一緒に紛失した場合、空き巣被害のリスクがあります。報告しづらくても、管理会社への連絡と交換の相談を早めに行ってください。
避けるべき行動:退去時の請求を内容確認せずに支払う
退去精算の明細に鍵交換代があった場合、契約書の特約に根拠があるかを確認してください。ガイドライン上は入れ替わりに伴う交換は貸主負担が妥当とされており、根拠のない請求は交渉の余地があります。
鍵業者に依頼する場合の判断と選び方
借主負担で交換することになった場合や、管理会社から「業者は自分で手配してよい」と言われた場合は、鍵の専門業者に依頼することになります。交換費用は鍵の種類(刻みキー・ディンプルキー・電子錠など)や依頼する時間帯によって大きく変わるため、特定の金額だけで判断せず、作業前に「部品代+作業費+出張料を含めた総額」の見積もりを必ず確認してください。電話で伝えられる金額は最低料金であることが多い点にも注意が必要です。
料金の目安を事前に把握したい方は鍵開け・鍵交換の料金相場を、料金体系や対応エリアで業者を比べたい方は鍵業者の比較をご覧ください。賃貸の場合は、見積もり内容を管理会社に共有してから作業に進むとトラブルを防げます。
交換が必要な場合は、まず総額見積もりをご確認ください
管理会社の承諾を得たうえで、複数の業者から総額見積もりを取り、比較することをおすすめします。料金の相場を把握してから依頼すれば、不当に高い請求にも気づきやすくなります。